セゴビア城(アルカサル)

スペイン最大の『ローマ水道橋』が残る、古都セゴビア(アルカサル)。
おとぎ話のモデルにもなったゴシック様式の古城です。
国名/所在地
スペイン王国/カスティーリヤ・イ・レオン州 セゴビア
概要
アルカサルとは、スペイン語で「王宮(城)」を意味します。セゴビア、セビリア、コルドバ、トレドの各地にある要塞として使用されていました。
かつてローマ時代の要塞があった場所にカスティーリャ国のアルフォンソ六世により、歴代の王の居住であり軍事拠点となりました。
15世紀にはスペインの黄金時代を築いたとされる、イサベル・ラ・カトリカ王妃とアラゴン皇太子フェルナンドの婚姻からその後、お城は拡張や改修を繰り返し最終的に今の姿になりました。
北側にはエレスマ川、西側にクラモレス川が流れ、大地は削られて北西と南側は断崖絶壁になっています。お城の正面にお堀があり、当時はつり上げ橋も存在していました。
セゴビア城は防御力に優れており幾度となく火事に遭いながらも、約1000年にわたって在り続けています。
建築様式
ゴシック様式、ムデハル様式、古典様式
建設の歴史
紀元前・・・ケルト部族の城があったとされます。
11世紀以前・・・イスラム教徒とユダヤ教徒が使用していました。
1085年・・・カスティーリャ王国のアルフォンソ六世によってイスラムの排斥と征服。カトリック国として中世の一時代を築いていきます。
15世紀に入り、エンリケ四世とホアン二世の時代、お城はゴシック様式へと建て直されます。
1474年・・・エンリケ四世亡き後を引き継いだ異母妹イサベル・ラ・カトリカ王妃はアラゴン国王と結婚し、二人共同で王位につきます。スペイン王国が誕生しました。
♔イサベル女王は私的財産で、かの有名なコロンブスの新大陸への航海資金援助をされていたそうです。熱狂的なカトリック教徒だったことから、他宗教への迫害、追放や殺戮、異端尋問などが行われていたそうです(>_<) その一方では、コロンブスを始めとした冒険家たちにより「新大陸」が発見され、そこから産出されたものにより国は潤っていきました。(残念ながらそれを上手く回せる人物は現れなかったようですが・・・。)
16世紀・・・フェリペ二世と4番目の王妃アナ・デ・アウストリアの婚礼の儀が行われ、お城は王室にとって重要な存在となります。また、この時代に中央ヨーロッパの華やかな城へと変わっていきました。
1762年・・・カルロス三世により砲兵アカデミーを設置します。現在アルカサルに展示されている博物館の由来であり、今なおセゴビア城にあります。
その後、フェリペ五世によってマドリードに宮殿が築かれ、王族の拠点はマドリードに移されます。それによってお城は衰退していきました。
1862年・・・お城は火事によりほとんどが焼け落ちてしまいます。
1882年・・・アルフォンソ十三世がお城の建て直しを命じ、現在の姿になりました。
1898年・・・軍事資料館が設置されます。(現在一般公開されています。)
1985年・・・セゴビア城含む水道橋と中世の面影を残す旧市街は、『セゴビア旧市街と水道橋』としてユネスコ世界文化遺産に登録されました。
ディズニーが選んだ城と王たちの塔
おとぎ話のモデル
『白雪姫と七人の小人たち』に登場するお城のモデルといわれています。ウォルト・ディズニーがヨーロッパらしいお城として選んだ古城です。円錐の塔の青い屋根がメルヘンチックさを感じさせます。
♔円錐形の青い屋根はフェリペ二世の時代、大改修した際に北欧風のスレート葺になりました。
特徴的な王たちの塔
『アルフォンソ十世の塔』・・・北の塔、アルフォンソ十世は「エル・サヴィオ」=知恵の人という別名があり、天文学を収めました。
『ホアン二世の塔』・・・80mという塔の中で最も高い塔です。セゴビアの有名な壁装飾が施されています。狭い螺旋階段を上りつめると見晴らしのよい景色が広がっています。聖マルコス地区、サマラマラ村、大聖堂などの素晴らしい街並みを見る事が出来ます。
♔来城客は貴族の牢としても使われていた『ホアン二世の塔』の先端まで上ることが出来るそうです。
その他の12の塔もそれぞれに美しい装飾品が施されています。
武器のパティオ
フェリペ二世の時代に大改修された独特な古典様式のパティオ。
城内
玉座の間・・・二つの玉座とカトリック両王の紋章が描かれています。また、エンリケ四世のステンドグラスなど。
♔城内にはカスティーリャの王たちのステンドグラスが、あちらこちらに飾られています。これらのステンドグラスは19世紀に作られたものだそうです。
旧王宮の間・・・ムデハル様式(✽)の四つの窓があります。
鎧の広間・・・コンサートやイベントが開かれます。
王の間・・・幾何学模様の天井装飾とアストーリア王国、レオン王国、カスティージョ王国の歴代の王や、女王の肖像画が飾られています。
女王(イサベル)の間・・・フランドル(オランダ)風のタペストリーが飾られています。
ガレー船の間・・・天井がガレー船の船底に似ているため、この名前が付いたとされます。
暖炉の間・・・16世紀の調度品と女王イサベラ・クララ・エウヘニアとフェリペ二世のポートレートが展示されています。
まとめ・感想
1000年近い歴史が続く中で一度も陥落したことがない難攻不落な城砦と、円錐型の塔の青い屋根の可愛らしさと相反する二つの顔に魅了されます。
個人的には、このお城のさまざまな建築様式美を間近で見たい❗という思いが増しました(*^_^*)
スペイン / カスティーリャは奥が深すぎて、あれもこれもと書こうとするとキリがないので断念(>_<) なるべく分かりやすくを心掛けていますが、かなり大ざっぱになってしまいました・・・う~ん(^_^;)
(✽)12世紀~16世紀、アラゴン、カスティーリャで盛んになった建築様式。イスラム文化の様式を取り入れた中世スペインの建築や装飾の様式。アラゴンの四つの教会と塔などが1986年、『アラゴンのムデハル様式の建築物』として世界遺産に登録されています。特徴としては、建物の壁面に幾何学模様の装飾が施されています。(追記:2001年に新たに6つの建造物が追加されています。)
参考資料:ヨーロッパの古城+宮殿がよくわかる本/桐生 操 監修(株)レッカ社編著 2010年
参考資料:世界一美しい夢の城図鑑/世界のお城研究会 編/宝島社 2014年
他多数のWebサイトから参考にしております
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