イギリス(イングランド)の古城【ウィンザー城】

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ウィンザー城

 


Andreas H.によるPixabayからの画像

英国エリザベス女王2世の居城ウィンザー城は、居城として存在する最大かつ最古の古城です。

 

国名 / 所在地

イギリス(イングランド)/ イングランド南東部、バークシャーに属するウィンザーの街
(正式名称:グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)

 

概要

11世紀にウィリアム1世が築いた砦(要塞)が始まりで、その後石造りに変わります。さらに増改築されていき、ヨーロッパにおいて現存する居城最大にして最も古いお城となります。

 

建築様式

モット・アンド・ベイリー様式、ゴシック様式、チューダー様式

 

建設の歴史

1089年、ウィンザー城の起源はイングランドを征服しノルマン朝(✽1)を開いた、ウィリアム1世により築かれました。最初はモット・アンド・ベイリー様式の要塞で円塔があるだけでした。

ヘンリー1世の時代に居城に改築されます。

1170年、ヘンリー2世により石造りのラウンド・タワーが建てられます。

1350年にエドワード3世によって一部を除き取り壊して新たに再建されます。

17世紀にチャールズ2世によってロングウォークが作られます。

1760年、ジョージ3世により再度改修工事が行われます。

1820年、ジョージ4世の時代に建築家ジェフリー・ワイアットヴィルによって、ステート・アパートメントの大改修が行われます。ラウンド・タワーも現在の形状に改築されます。

1824年~1866年、公式諸間(ステート・アパートメント)が建立します。

1992年11月、お城は照明器具の漏電が原因で火災になり、数年の歳月をかけて完全に修復されます。

この時エリザベス女王2世の収入からの納税や修復費用の補填のため、バッキンガム宮殿の一般公開が始まります。

何世紀にもわたりお城は増改築を繰り返し、チューダー様式ゴシック様式などが混在していきます。

その中でヘンリー3世によって築かれた西側にある防壁(ロワーウォード)の一部が、現存する最古の部分になります。

 

見所・3つの城郭エリア

ウィンザー城はアッパーウォード(上郭部)、ミドルウォード(中郭部)、ロワーウォード(下郭部)の3つの城郭エリアに分かれています。

ラウンド・タワー・・・ウィンザー城の象徴。正面に見える円形の建物です。ラウンド・タワーの天辺に立つ旗が王室の旗であれば、女王が滞在という事を示します。不在の時は国旗を掲げています。

♔ ラウンド・タワーは1975年以来改築工事のため閉鎖されていましたが、2011年に夏限定で一般公開されました。

ステート・アパートメント(公式諸間)・・・ラウンドタワーの東側アッパーウォードに位置する、儀式などを執り行う広間です。居住スペースにもなっておりエリザベス女王2世が不在の時は見学が出来ます。ルーベンスレンブラントなどの貴重な名画なども必見です。

クイーン・メアリーのドールハウス・・・精巧なミニチュア・ドールハウスが展示されており、1500人もの職人が制作されたものです。

ジョージ5世王妃クイーン・メアリーに贈られたドールハウスは細部まで拘っていて、蛇口からお水とお湯が出たり、トイレの水が流せたりします。12分の1の縮尺です。

セント・ジョージ礼拝堂・・・ラウンドタワーの西側ロワーウォードに位置する、英国の特徴的な垂直型のゴシック様式の礼拝堂です。

1475年にエドワード4世によって建設が開始され、エドワード8世の時代1528年に完成します。美しい扇型のヴォールト天井とステンドグラスが見事です。

その天井には、英国の最高勲章である【ガーター勲章】(✽2に叙された勲爵士の旗と紋章が両側に掲げられています。その中には日本の皇室の紋章である菊の御紋があります。

日本の天皇は明治天皇から代々この勲章に叙されています。上皇(令和元年5月1日現在)は、現在非ヨーロッパ人、非キリスト教徒である唯一となるそうです。

ロング・ウォーク・・・『ホーム・パーク』と『ウィザー・グレート・パーク』の2つの公園を突き抜けているロング・ウォークは、全長4.8キロという長さ。

17世紀にチャールズ2世が5年の歳月かけて作ったとされます。

ジョージ4世門からジョージ3世の騎馬像まで出入りは自由ですが、一般者は徒歩のみとなっています。王室関係者のみ車または馬車での往来が許されています。

衛兵交代式・・・バッキンガム宮殿が有名ですが、ウィンザー城でも当然行われています。

ほぼ毎日11:00~交代式が見れるようですが、確実に見たいのであれば【Changing the Guard】のスケジュールを確認する事をおすすめします。バッキンガム宮殿より間近で見れる穴場だそうですよ♪ 

黒い毛皮と赤いコートを見ると『おもちゃの兵隊』感が拭えませんが、ちゃんとお仕事をされている立派な方々の大事な儀式です。

 

まとめ・感想

イングランドを征服したウィリアム一世から現在のエリザベス女王2世まで、英国の歴史が感じられるウィンザー城。時代時代で改修あるいは増改築を繰り返し、さまざまな建築様式が混在しているので、歴史と建築様式両方楽しめるのではないでしょうか(^-^)

ウィンザー城にあるジョージ4世が創設した美術館には、王家の肖像画や歴代の王が収集した絵画や素描が、またウィリアム4世創設の王立図書館には、数多くの巨匠たちの素描などが所蔵されています。レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿もその中の一つになります。

 

✽1 1066年~1154年まで続いた大陸の封建制度を導入した王朝。イングランド王を倒し征服したウィリアム1世によって創始されます。ウィリアム1世は、イギリスの王でもありフランスのノルマンディー公ギョーム2世でもありました。ウィリアムはノルマン人の末裔だったことからノルマン朝と呼ばれます。

✽2 フランスとの100年戦争の際、時の王エドワード3世によって士気を上げるため、24人の騎士をガーター勲爵士に任命、『ガーター騎士団』を結成しました。原則として外国人の叙勲はキリスト教徒の君主である事とされています。

♔俗説で、エドワード3世が舞踏会で王と踊っていたご婦人がガーターを落としてしまい周りから嘲笑されますが、エドワード3世は笑わずガーターを拾い自らの膝に付け【Honi soit & qui mal y pense(それを悪く思う者に災いあれ)】と、言った事が由来とされます。その語が青いガーターに金色で刺繍されています。

 

参考資料:世界一美しい夢の城図鑑/世界のお城研究会 編/宝島社 2014年

他多数のWebサイトから参考にしております

 

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