サンタンジェロ城
映画【ローマの休日】や【天使と悪魔】の舞台にもなったサンタンジェロ城。ローマ市内に現存する唯一の城塞です。
国名 / 所在地
イタリア共和国 / ローマ、テヴェレ川沿い
概要
サンタンジェロ城は、日本語でいうと【聖天使城】になります。『サンタンジェロ』とは、『聖天使』という意味があります。この名は、590年にローマの人口の半分が亡くなったとされるペストの大流行が起き、その際に教皇グレゴリウス1世がお城の頂上に大天使ミカエルが現れ剣を鞘に収める姿を見て、ペストが終熄(しゅうそく)したという言い伝えに由来します。
16世紀にその記念として、お城の頂上には大理石製の大天使ミカエルの像が掲げられます。1753年に、青銅製になりました。
中世以降のお城はバチカンの教皇庁のための城塞とし、バチカンとの秘密の通路が造られています。また、牢獄としても使用されていました。
サンタンジェロ城の正面には、【サンタンジェロ橋】の名にちなんで、10体の天使像が橋の両サイドの欄干に並んでいます。その内の2体は教皇クレメンス9世の旧友、バロックの代表する芸術家ジャン・ロレンツォ・ベルニーニの作品で、残りの8体は弟子の作品です。ベルニーニの作品2体は、その完成度の高さから法王によりサンタンドレア・デッレ・フラッテ教会に移設し、現在、橋の欄干にある2体はそのレプリカです。
建設の歴史
135年~139年、ローマ帝国第14代目皇帝ハドリアヌスが自らの霊廟として築かれ、15代皇帝アントニヌス・ピウスの時代に完成します。
この建築に携わった建築家デメトリアーノは、お城の正面にあるテヴェレ川に架かる橋も建設します。
♔ 17世紀に、ベルニーニと弟子たちによる10体の天使像がこの橋の欄干に設置されると、【サンタンジェロ橋】と呼ばれるようになりました。
霊廟にはハドリアヌスからカラカラまでが埋葬されています。円形の姿をしており、頂上にはハドリアヌスが戦車を引く像が置かれていました。
その後、軍事施設として使用されます。
♔時代が変われば、その使用も変わるのはわかりますが、霊廟さえも軍事施設に変化するんですね・・・(-_-;) このサンタンジェロ城もそうですが、古城や城塞はよく牢獄などに使用されますよね。やっぱり簡単に脱出出来ないからかしら。。。(-.-)
403年には、アウレリアヌスの城壁(ローマを守る為に建設された城壁都市)の一部となりました。
9世紀には、霊廟としての機能は薄れ、バチカン教皇庁を守るための城塞へと変化していきます。
13世紀後半に、敵の攻撃を受けた時の為に教皇が避難するため、バチカンからサンタンジェロ城までを結ぶ秘密の通路が造られます。
♔ サンタンジェロ城では夏の期間、秘密の通路を歩けるツアーが行われています。(※必ずではないらしい)バチカンのサン・ピエトロ大聖堂までの所要時間はおよそ10分だそうです。地下ではなく空中というのが面白いですね。ちょっと楽しそう(^_^)
14世紀以降、さらに要塞として強化が進み同時に牢獄や避難所として使われる様になります。また、16世紀にかけて増築や装飾などが施されていきます。
1527年、ローマ劫掠(ごうりゃく)(✽)で傭兵団からの攻撃に対し、クレメンス7世はサンタンジェロ城へ逃げ込み、味方と共に一週間立てこもって抵抗しました。
♔ この事件により、ローマにおいてのルネサンス様式のほとんどが壊滅してしまったとされます・・・。現在見られるのは、古代様式か、バロック、ロココ様式以降のものと言われます。
16世紀中頃、ピウス4世により、お城の周りに多角形の城壁が造られます。
♔1593年~1600年2月、哲学者ジョルダノ・ブルーノが、地動説を唱えた事により火刑になるまでの7年間、サンタンジェロ城で幽閉されています。その後1979年に異端判決の取り消しにより名誉は回復されました。
正直、宇宙論なんてさっぱりわかりませんが、生まれてくる時代が早すぎたのか・・・名誉回復出来てよかったヽ(;▽;)ノ
17世紀には、ウルバヌス8世がお城をさらに強化していきます。
1933年~国立博物館として一般公開されています。
見所
博物館にはルネサンスの絵画や彫刻、それとは対照的な兵器や武具も展示されています。また、時代によって増改築されてきた回廊も必見。
◆豪奢(ごうしゃ)な部屋・・・16世紀前半にパウロ3世が造らせた部屋。15世紀頃の家具や暖炉などがあります。
◆パオリーナの間・・・天井と壁一面に美しい装飾とフレスコ画。
◆天使の中庭・・・ハドリアヌスの時代に造られたスロープを下って、城の中心にある中庭では天使の像が迎えてくれます。また、ミケランジェロの設計した【レオ10世の礼拝堂】があります。
◆テラスと屋上・・・テラスは大天使ミカエルの像を最も近くで見られる場所です。カフェもあります。屋上は、サン・ピエトロ大聖堂のドーム、ローマの街並みが見える絶景のスポットとなっています。
Michael SiebertによるPixabayからの画像
夏は夜間も開城されています。ライトアップの効果で夜景が好きな方は夜の訪問もオススメのようです。また、コンサートやさまざまなイベントが開催されています。
※博物館は撮影禁止です。
まとめ・感想
築城約2000年のサンタンジェロ城は、古城というには少し違う、やはり城塞の印象が強い気がします。しかし、もともとは霊廟であり実際に歴代の教皇が埋葬されています。とても不思議なお城です。
橋の欄干の天使像もそうですが、お城の大天使ミカエル像も是非一度、間近で見てみたいです(^^♪
このお城は映画でも有名で、【ローマの休日】は観ていますが【天使と悪魔】は、残念ながら未見なのです(>_<) 1番興味を惹かれる『秘密の通路』は、この映画に登場するそうです。
✽ 神聖ローマ皇帝兼スペイン王カール5世の軍勢によるイタリア侵攻、教皇領であるローマでの破壊や強奪、殺戮行為、強姦などを行った事件。神聖ローマ帝国とフラン王国の争いの中、時の教皇クレメンス7世はフランス側についたため、攻められ降伏します。
参考資料:世界一美しい夢の城図鑑/世界のお城研究会 編/宝島社 2014年
参考資料:世界で一番美しいお城 水野久美著/大和書房 2014年
他多数のWebサイトから参考にしております
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