ラホール城(城塞)
ムガル帝国の繁栄を刻んできた歴史的建造物であるラホール城。
国名 / 所在地
パキスタン・イスラム共和国 / パキスタン西部 パンジャーブ州、ラホール
概要
16世紀後半、ムガル帝国第3代皇帝アクバルによって着工され、それ以降の第6代皇帝アウラングゼーブの時代まで増改築されてきた、ラホール城。
シーシュ・マハル(鏡の宮殿)や、アラムギリ・ゲートなど、イスラム建築の遺構は、ムガル帝国の歴史資料としても貴重な存在となっています。
建築様式
イスラム建築
建設の歴史
ラホール城は、その起源は不明としつつも、ムガル帝国よりも遥か古に存在していた痕跡が見つかっています。
1566年、ムガル帝国第3代目皇帝アクバルによって、残されていた基盤を元にし煉瓦で再建されます。
1618年、第4代目皇帝ジャハーン・ギールは庭園と寝所を増築します。
1631年以降には、第5代目皇帝シャー・ジャハーンによって【シーシュ・マハル(鏡の宮殿)】、【ナウラカー・パビリオン(小館)】、【ディワーニ・アーム(公謁殿)】を増築します。
♔ シャー・ジャハーンは1641年~1642年、ラホールの郊外に【シャーリーマール庭園】を造ります。こちらは、長方形で壁は高く透かし彫りの彫刻を施しています。
ペルシャ式の泉水庭園で、南から北へ向かって4~5mくらいずつ低くなった3段式のテラスになっています。
1645年、シャー・ジャハーンは【ディワーニ・アーム(内謁殿)】を建設します。これはアグラ城の【ハース・マハル殿】がモデルと言われています。白大理石で造られ、黄金に輝く装飾が惜しげもなく施されています。
また、【モティ・マスジド(真珠のモスク)】もこの年に建設します。
1673年、第6代目皇帝アウラングゼーブにより、城外に世界でも最大級の金曜モスク、【バードシャーヒ・モスク】を建てます。このモスクとお城を繋ぐためのゲートを西側に建設します。これが、【アラムギリ・ゲート】です。
1707年にアウラングゼーブが亡くなると、帝国は衰えていき7代目皇帝を最後にムガル帝国は衰退していきました。
1770年のラホールは、アフガンに奪われシーク王国に売られてしまいます。その後、20世紀に入るまで略奪や破壊が行われていました。
1927年~ 要塞の保存計画が開始されます。
1981年に『ラホールの城塞とシャーリーマール庭園』として、ユネスコの世界文化遺産へ登録されました。しかし2000年に、外壁の劣化や道路拡張による給水設備の破壊などから、危機遺産に登録されてしまいます。
2012年、改善の見込み有りとなって、危機遺産リストから解除されます。
ムガル帝国の美しき遺産
ここでは、ムガル帝国の美しき遺産をいくつかご紹介します。
◆シーシュ・マハル(鏡の宮殿)・・・シャー・ジャハーンが建てた愛妃ムムターズの間。シーシュガリと呼ばれる技法によって、壁と天井に無数の鏡の小片を張り合わせる事により昼は日の光、夜は炊く火の光が鏡に反射して美しい色彩効果が生まれるのだとか。
◆ディーワーニ・アーム(公謁殿)・・・シャー・ジャハーンが建てた謁見のホール。民の声を聞いたり、裁判所として使われていました。40本の柱からなるアーチが並んでおり、見事な装飾が施されています。
19世紀に砲撃によって破壊され、現在オリジナルで残っているのは9本のみとなっています。
◆ナウラカー・パビリオン(小館)・・・こちらもシャー・ジャハーンの時代です。白大理石の小館で、黄金や宝石がふんだんに使われています。美しく細かな象嵌細工(ぞうがんさいく)が施されています。
◆ジャハン・ギールの寝室・・・現在は博物館。タージ・マハルの模型やミニアチュール(細密画)などが展示されています。
◆アラムギリ・ゲート・・・アウラングゼーブによって建設。ラホール城とバードシャーヒ・モスク(王のモスク)に通じる門。
◆シャーバージ・ゲート・・・堅固な裏門を入ってすぐにある美しいタイル装飾の門。
まとめ・感想
ムガル帝国の王たちによって築かれたラホール城は、城の起源こそ古いですが、現存する建物の殆どは、16世紀以降に造営されています。
中でも目を惹くのは、シーシュ・マハル(鏡の宮殿)と呼ばれるシャー・ジャハーンが愛妃のために建てた宮殿です。
【アグラ城】でもご紹介したシャー・ジャハーンですが、彼によって造営された建造物は愛妃のためが多く、そのどれもが美しく、見事な装飾が施されています。
個人的には、煌びやかな装飾よりも、イスラム建築の特徴的な柱やアーチを実際に見てみたいです(^^)
※ パキスタンは現在、外務省の海外危険情報レベル2~4(地域によって異なります)となっています。今後も常に最新情報を確認していきたいと思います。
現在は、新型コロナウィルスの感染症危険情報も出ています。(2021年6月18日現在)
参考資料:世界一美しい夢の城図鑑/世界のお城研究会 編/宝島社 2014年
他多数のWebサイトから参考にしております
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