フランスの古城【シュヴェルニー城】

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シュヴェルニー城

jacqueline macouによるPixabayからの画像 

ロワールの古城の中でも、室内装飾や家具、調度品などの保存状態が良いとされる【シュヴェルニー城】

17世紀に完成した後、何度も持ち主が替わりながらも、最終的に元の主の一族に戻ってきた古城は、現在もその子孫が居住とし守っています。

 

国名 / 所在地

フランス共和国 / サントル・ド・ロワール地方、ロワール=エ=シェール県、シュヴェルニー

 

建築様式

古典主義様式

17世紀~18世紀にフランスから始まった、古代ローマ、ギリシャの芸術や文化を理想とし、調和、統一性を重視する考えです。

建築史では、主にオーダー(建築での基本単位となる円柱の構造方式(形式))を用いるものを古典主義といい、後にルネサンス様式、バロック様式(ロココ含む)、新古典様式へと流れていきます。

 

歴史

1500年頃の要塞があった土地を、ルイ11世の財政管理を担当していたシュヴェルニー伯爵アンリ・ユローが購入します。夫人ルグリットと共に1624年~1630年にかけて、お城を築いていきます。

伯爵夫妻は、お城の完成を見る事叶わず、娘であるモングラ侯爵夫人エリザベートに託され、1634年に完成します。

その後、アンリ2世によって寵妾ディアーヌ・ド・ポワチエに与えられますが、ディアーヌはシュノンソー城を好んで居住としていたため、元の持ち主の息子フィリップ・ユローへ売却します。

♔ディアーヌが滞在したのは、カトリーヌ・ド・メディシスシュノンソー城から追放され、ショーモン城へ移るまでの間だけだったとされます。

結局ショーモン城にもあまり長くは居ず、自分の城であるアネ城にて生涯を過ごしました。

シュヴェルニー城は、城館としては十分美しいと思いますけどね(´・_・`) 

1765年、内装の改修工事が行われます。

ユロー家の手に戻ったシュヴェルニー城でしたが、フランス革命時期(1798年~1799年)、ユロー家は多くの資産を売却することになります。

シュヴェルニー城は、ナポレオン・ボナパルト統治下の1802年に手放してしまいます。

1825年、ヴィブレー侯爵アンヌ=ヴィクトール・ユローによって、お城は買い戻されます。その後6世紀に渡り同一族が所有します。

1922年に一般公開されます。

2000年、ユネスコの世界遺産【シュリー=シュル=ロワールとシャロンヌ間のロワール渓谷】に含まれています

 

ジャン・モニエの豪華絢爛な室内装飾

シュヴェルニー城の外観は、シャンボール城と同様シンメトリー(左右対称)で、美しい古典様式の白い城館です。

しかし、なんといっても目を奪われるのは豪華絢爛な室内装飾になるでしょう。

その室内装飾を手がけたのは、アンリ4世の2番目の王妃マリー・ド・メディシスの寵愛を受けていたブロワ出身の画家ジャン・モニエです。

王妃マリーの計らいでイタリアへ修行しに行った彼は、帰国すると、彼女の依頼でリュクサンブール宮殿の14の絵画を制作します。その後、ブロワへ戻りシュヴェルニー城の絵画と室内装飾に取り掛かります。

城内の見所

まずは1階から

◆食堂・・・ジャン・モニエの板絵34点が飾られています。これは、17世紀に人気だったスペインのセルバンティスの小説『ドン・キホーテ』を描いたものです。

また、イギリスから伝わった移動可能なテーブルネオ・ルネサンス様式の大きな暖炉も見所の一つとなっています。

◆大サロン・・・ここにあるハープは、18世紀末にエラール社によって作られたものです。保存状態が良いため、今でも演奏が可能です♪

19世紀には天井の装飾が修復されています。

◆回廊・・・ルイ15世と16世に仕えた家具職人リーズネール作の小タンスや、大理石のテーブルなど貴重な家具とたくさんの肖像画があります。

◆図書室・・・2000冊の蔵書とフランス第一帝政様式(ナポレオン1世政治(1804年~14年))の机が見られます。

正面階段は、それまでフランスでは螺旋階段が主流でしたが、イタリアから伝わったとされる直線の階段になっています。踊り場には重量が25キロもある16世紀の甲冑が置かれています。

また、19世紀の科学者で鉱物収集家だったヴィブレー侯爵ポールへ贈られた『セルブス・メガセロス(ヘラジカの祖先)』が見られます。これは200年前に氷の中で発見されたものだそうです。

♔ずがいこつ・・・角が迫力満点( ̄∀ ̄))

2階へ

◆武具の間・・・武具好きには堪らないお部屋!15世紀~17世紀の武器と甲冑のコレクションが所狭しと展示されています。城内で最も大きな部屋で、ゴブラン織りのタぺストリーや装飾は当時のまま残っているそうです。

◆王の寝室・・・16世紀にペルシャ風の装飾を施した天蓋付きベッドがあります。アンリ4世が滞在中に使用していました。

イタリア式の天井や扉の上部には『ペルセウスとアンドロメダ』(✽1)の神話が描かれています。

♔かなりゴージャスな寝室ですが、王様、、、これで眠れたのかしら(・・;)

◆礼拝堂・・・最上階の一角にあるルイ13世の時代に作られた礼拝堂。ステンドグラスは19世紀に完成。

※お城の右翼部分は現在の持ち主であるヴィブレー侯爵夫妻の居宅となっています。

 

常設展・ムーランサール城のひみつ

シュヴェルニー城は、ベルギーの漫画家エルジェ『タンタンの冒険』シリーズ(✽2)の中で出てきたお城のモデルということで、城内には常設展『ムーランサール城のひみつ』があります。

物語に登場するサメ型の潜水艦(サメマリン号)や、さまざまな場面が再現されているので、ファンは必見ですね!

♔ちなみに『ムーランサール城』を英語で表記すると、『Marlin spike hall(マリンスパイクホール)』になるそうです。原作の翻訳は80ヵ国語もあるそうですよ。

 

4つの庭園と犬小屋

シュヴェルニー城は、イギリス式の公園内に建っています。園内にある杉やライムの木は、1820年~1860年にポール・デ・Vibrayeによって植えられました。

公園の散策には、電気ボートやゴルフ用カートなどが利用出来ます。

庭園は菜園、見習いの庭、チューリップの庭、迷路(庭?)の4つのエリアに分かれています。また、犬小屋は菜園のすぐ横にあります。

◆菜園/THE VEGETABLE GARDEN・・・約1000種類の花や野菜が植えられています。

◆見習いの庭/THE APPREN TICE’S GARDEN・・・城館とオランジェリー(温室)の間に位置します。2006年に開設され、そこに飾られる植物は日々変わり、飽きさせない様に工夫されています。

♔オランジェリー・カフェで一息ついてみたり(^^♪

◆チューリップの庭/THE TULIP GARDEN・・・十万以上のチューリップの球根が植えられています。見頃は4月。

♔色とりどりのチューリップ、この数が一斉に咲き出したら圧巻ですよね(o^^o)♪

◆迷路/THE MAZE・・・植木の迷路。

◆犬小屋・・・このお城には、鹿の角が沢山あります。狩猟犬を使って鹿狩りが行われていた名残だそうです。狩りで活躍した同種犬なのか・・・ここに100匹近くの猟犬が飼われています。

その犬種とは、トリコロール・アングロ・フレンチ犬(英国フォックス・ハウンドと仏国ポワトヴァンのミックス)で、特徴は、手足が長く、俊足でスタミナもあります。そして主人にはとても忠実。

シュヴェルニー城では、そんな猟犬たちの餌やりの様子を見る事が出来るそうです。

 

★フランス語のガイド付きツアー有り。団体(グループ)は要予約。
★パンフレット・・・フランス、英語、ドイツ、イタリア、スペイン、ロシア、日本(わーいヽ(´▽`)/)、ポルトガル、チェコ、ポーランド、中国、ハンガリーの12ヶ国語に対応。
★無料の駐車場完備。

 

まとめ・感想

幾度となく城主が替わったにも関わらず、最終的にユローの子孫へ戻ったのは運命を感じますね。

シュヴェルニー城は、外観だけで見るとちょっとお洒落な城館風ですが、このお城の見所はとにかく内装に尽きます!絵画や装飾を見るのが好きという方は、ロワールの古城の中では一押しなのではないでしょうか(^^♪

特に4月~11月、4つのエリアで分かれている庭園はそれぞれに工夫を凝らしているようですし、なによりも全体的に”ウェルカム”、フランス語でなら”Bienvenue(ビアンヴニュ)”な感じが素敵ですね☆彡

『タンタンの冒険』は、けっこう旅好きの人にはファンが多いのでしょうか。私は、なぜか絵は見たことがある程度でしたけど・・・(^_^;) これをキッカケにちょっと読んでみようかしら( ⊙‿  ⊙ )

 

✽1 ギリシャ神話。メドゥーサを倒した英雄ペルセウスは、母カシオペアの美貌自慢のせいでポセイドンの怒りをかい、怪物(ケートス)への生贄として波打つ岩に縛り付けられた娘アンドロメダを救い、後に妻とします。

✽2 ベルギーの漫画家エルジェの冒険漫画(バンド・デシネ)。新聞記者の主人公タンタンと相棒犬スノーウィが世界中を旅しながらさまざまな事件に巻き込まれる。1929年に『20世紀新聞』の子供向け付録に初掲載。世界で80ヶ国語で翻訳されている人気漫画です。

 

参考資料:シュヴェルニー城公式URL=https://www.chateau-cheverny.com/

参考資料:西洋建築の歴史 美と空間の系譜 佐藤達生著 / 河出書房新社 2014年増補新装版

他多数のWebサイトから参考にしております

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