平遥古城(へいようこじょう)
中国の『世界遺産』のひとつ、城郭都市【平遥古城】は、明から清の時代をそのまま残した歴史的遺産です。
国名 / 所在地
中華人民共和国 / 山西省、普中市、平遥県
歴史・概要
平遥(へいよう)の起源は8世紀~9世紀ごろの周(しゅう)の時代とされています。その跡地に14世紀初めの明(みん)の時代に改築、拡張していきました。
平遥には『票号』が数多くあり、中国全土の半数以上が集まるなど中心地として栄えていました。
♔票号とは、為替を扱う金融機関の事です。または、いわゆる銀行家の事を『票号』と呼んでいました。有名なのが『日昇昌(じっしょうしょう)』です。
しかし、清(しん/1616年~1912年)の時代も終わりの頃、中華民国期(1912年~1949年)の動乱によって回収業務が出来なくなり数多くあった『票号』は潰れていきました。
やがて清の衰退。20世紀後半になると貧困地域となっていきます。
都市の再開発をしようにも財政難なため、平遥は造営当時のまま残されています。そのため、明の時代(1368年~1644年)~清の時代の、中国の姿が見られる街となっています。
城壁はもちろん、生活空間における建物など保存状態が良く、1997年にユネスコの世界遺産(世界文化遺産)へ登録されます。
平遥古城は、今や『世界遺産』の中で暮らす人々や、この街を訪れる観光客で日々賑わっている城郭都市です。
平遥古城の見所と街のシンボル【市楼】
平遥古城には300余りの史跡や民家、邸宅の跡など4000軒超も存在します。
中国で現存する数少ない壮大な城壁
城壁は、全長6.4km、高さ8m~12mにも及び、中国ではこれだけの城壁が現存する都市は少ないそうです。(西安、興城(せいあん、こうじょう)などに見られます。)
外側の表面や上部は煉瓦で築かれており、内側は『版築』という工法で築いています。
♔『版築』とは、土が建材としての役割を持ち、その土を強く固める技法です。強固な土壁、建築の基礎を高く構築する事。(出典:Wikipediaより)
現在残っているのは、城門と甕城(おうじょう)、4つの角楼(かくろう〈櫓やぐら〉)と72の敵楼(見張り台)です。城門は6つあり、南門は2004年に倒壊したため、再建されています。
平遥古城のシンボル【市楼】
城内のメインストリートである『南大街』の中心に建つ平遥古城のシンボル【市楼】。この楼閣の下で市が開かれていたことから、【市楼】と呼ばれるようになったと言われています。
上に登ると遠くまで見渡せ、夜などは光による幻想的な光景がみられるそうです。
中国の伝統建築様式『四合院』の民家
城内の南大街商店街をの通りを少し外れると民家があり、44軒が開放されています。この民家は『四合院(しごういん)』という、中国北部の伝統的建築様式で造られています。
その造りは、ロの字型に4つの壁で中庭を囲んで1棟に3室、東西南北に4棟が基本形とされています。
博物館と文廟
平遥古城は出入り自由なのですが、城内の主要観光地は有料になっており、門票というものを購入して見学します。その中で、これからご紹介するのは、寺院の中に併設されている博物館と世界遺産に登録されている【孔子廟(こうしびょう)】です。
◆清虚観・・・道教寺院に併設されている博物館。この寺院は唐(とう)の時代(660年)に創建。明、清の時代に再建されています。
博物館には平遥の文物を保管。中国でも珍しいとされる唐や宋(そう)時代の鉄鋳造の仏像や、明時代の版画神像などが展示されています。また、紙と粘土で作られた人形コーナーなど第1~8展示場まであります。
◆平遥文廟・・・文廟(ぶんびょう)とは孔子を祀る大聖堂のことです。祭祀の場所より後方には学問をする場所があります。また、文廟の正殿である大成殿は金(きん)の時代(1163年)に再建されており、中国で最古の孔子廟とされます。
♔孔子廟は日本にもいくつかありますが、有名なのは東京の湯島聖堂(江戸幕府5代将軍徳川綱吉が建てた孔子廟)や、赤レンガが印象的な長崎の長崎孔子廟などがあります。(私はこの長崎孔子廟へ行ったことがあります。。。人力車に乗って。数十年前のことなので、もう記憶が。。。(^_^;) ただ、高い赤レンガの壁が今でも印象に残っています。
後で知りましたが、長崎孔子廟は日本にある孔子廟で唯一中国人が建てた廟ということで、伝統的な中国建築や貴重な文物など、中国以外ではここでしか見られないそうです。。。。。。見てるはず・・・なのに(-_-;)
※長崎孔子廟公式URL=http://www.nagasaki-koushibyou.com/
もう一つ私が数年前に訪れた栃木県の足利学校にも孔子廟があります。創設は平安時代か、もしくは鎌倉時代という中世の高等教育機関で、日本では一番古い学校なんですよ(^_^)
※足利学校足利市公式URL=http://www.ashikaga.tochigi.jp/
城の外にある二つの世界遺産
お城の外になりますが、それほど遠くない場所に平遥古城一帯として、世界遺産に登録されている寺院が二つあります。
◆双林寺・・・城より南西に6km離れた場所にある彩色塑像で有名な寺院。2000体以上の塑像がおさめられており、宋から清王朝の時代までのものだとされます。
明時代の建築で、まるで『ミニ城郭』のごとく、城壁に囲まれてお寺が建っています。
それもその筈、この双林寺はお城の建築様式を踏襲しているのだとか。この城壁の上も登って歩くことが出来ます。
♔塑像と言えば日本では【法隆寺】の国宝・五重塔塔本四面具が有名ですね。中門の金剛力士像(重要文化財)もそうです。
◆鎮国寺・・・城から東北に12kmの場所にある寺院。五代北漢(963年)の時代に創建。建立(こんりゅう)した時は【京城寺】という名称でしたが、1814年に改称します。
お寺は何度も改修していますが、主殿である万仏殿は創建当時の様相を持ち、中国における木造建築では最古の建物とされています。この万仏殿では、釘を一本も使用しておらず、【木組み】と呼ばれる技法を用いています。
♔ここでも奈良の【法隆寺】を思い出しちゃいます(^_^) 日本で最古の木造建築ですからね。
万仏殿の名の由来にもなっている【百万仏画】が壁面に描かれており、また、国宝級の塑像が多数収められてます。
まとめ・感想
平遥古城は、県が財政難だったために当時のまま残されて、、、でも、そのおかげで現在も歴史的貴重な姿を見ることが出来るんですよね。
城壁に登るって、日本では考えられないのでちょっと興味があります。中国といえば『万里の長城』には以前から行ってみたいとは思っていましたが、この『平遥古城』も、私の中での行ってみたいリストに追加されました(o^^o)♪
参考資料:Travel China Guideの公式URL=https://www.travelchinaguide.com/
Wikipedia、他多数のWebサイトから参考にしております。
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