ピエールフォン城
Rémi CerthouxによるPixabayからの画像
ナポレオン3世の依頼によって、建築家ヴィオレ・ル・デュックが修復を手がけた【ピエールフォン城】。
その外観は中世建築の城郭を忠実に再現。
どっしりとした8本の円塔や城壁は、威圧感さえあります。
国名 / 所在地
フランス共和国 / オー=ド=フランス地域圏、オワーズ県、コンピエーニュの森、南東
建築様式
ロマネスク様式、ゴシック様式(ネオ・ゴシック様式)、ルネサンス様式
建築の歴史
ピエールフォン城は、12世紀には城塞があったとされる地に、14世紀末、フランス国王シャルル6世の弟オルレアン公ルイにより、防衛のため宮廷建築家ジャン・ルノアールによって建設されます。
1407年、オルレアン公ルイは暗殺されてしまいます。
1616年、領主フランソワ=アンニバル・デストレは国王ルイ13世に敵対したため、お城が破壊されてしまいます。
1813年、ナポレオン1世が、廃城となっていたピエールフォン城を買取ります。
19世紀に入ると、ヨーロッパでは『ロマン主義』と呼ばれる時代が訪れます。
♔15世紀末に衰退していったゴシック建築を再び蘇らせたのが、『ロマン主義』の芸術家たちです。
再評価された建築様式を『ネオ・ゴシック』、イギリスでは『ゴシック・リバイバル』と呼びます。
イギリスからの流れで、世界各国で広まったとされます。ゴシック芸術を崇拝し、それ以前の『厳格さ』や『形式(規律)』を重視した古典主義様式を拒み、理性より感性や自然など、より自由度を主張しているのが特徴です。
ちなみに私は、そのどちらにも魅力を感じています、、、セッソウガナイ(^_^;)
1848年、ピエールフォン城はフランスの『歴史的記念物』に指定されます。
1857年~1884年、ナポレオン3世はお城の修復を、【カルカソンヌ】やパリの【ノートルダム大聖堂】を手がけた事で知られる建築家ヴィオレ・ル・デュックに依頼します。
大修復工事は20年以上かけて行われました。
1879年、ヴィオレ・ル・デュックは完成を待たずに亡くなります。その後は子弟が引き継いだとされます。
『ピエールフォン城の廃墟』: 画家ジャン=バティスト・カミーユ・コロー
♔上の絵は、個人的にタッチが好きな画家カミーユ・コロー(1796年~1875年)が、このお城をテーマに描いた作品『ピエールフォン城の廃墟』《シンシナティ美術館所蔵》です。
こうして見ると、現在の姿よりもかなりシンプルですよね。
ピエールフォン城の見所
パリ郊外のピエールフォン村を見下ろすように立つ【ピエールフォン城】は、19世紀フランスの建築家ヴィオレ・ル・デュックによって、修復され現在の姿を見る事が出来ています。
彼は数々の中世建築の修復を手がけ、ピエールフォン城の様に廃墟と化していた建物を蘇らせるという、多くの功績を残しています。
また、独特な建築理論を持ちその後の近代建築家たちへの影響も大きく、建築史に名を刻んでいます。
♔彼の《建築において合理性や機能性を重視する》といった理論は、近代建築家たちには支持されていましたが、歴史主義(いわゆるネオ・ゴシック(ゴシック・リバイバル))と呼ばれる人たちからは異論を唱えられ、しばしば物議を醸しています。
このピエールフォン城では、修復工事の過程や発掘されたもの等を見ることも出来ます。
城内へ入ると、跳ね橋を渡り中庭に出ます。この庭には至るところにガーゴイル(怪物を象った雨樋)やオブジェがあるので楽しそうです(^^♪
◆礼拝堂・・・ファサード(正面部分)の入口中央には、巡礼者に扮したヴィオレ・ル・デュックの彫像があります。これは、彼が亡くなったあとに造られています。そして上部には素晴らしいバラ窓が!
中へ向かう階段の正面にはオルレアン公ルイの騎馬像。中に入るとすぐに立派な獅子の像がお出迎えしています。
次の間には、モンデュイ工房(鉛工芸で有名)の作品が展示されています。また、【モン・サン・ミッシェル】のミカエル像が見られます(ピエールフォン城の屋根もこの工房作)。
◆騎士の間・・・天井は12mにもおよぶ高さで、武器や甲冑などのコレクションが並びます。暖炉の上に、ナポレオン3世の皇后ウージェニーとお付きの侍女たちを模した彫像が置かれています。
ここの部屋は、かつては裁判が行われていたとされ、ナポレオン3世の時代には、祝宴が開かれていたようです。
★ガイド情報
セルフガイドツアー:フランス語、英語、ドイツ語、オランダ語、スペイン語、イタリア語、日本語、中国語、ロシア語/(無料)
フランス語ガイドツアー:所要1時間/定期的/(1ユーロ)
オーディオガイド:所要1~3時間/フランス語、英語、ドイツ語、オランダ語/ (3ユーロ)
※ガイドツアー情報に関しては公式サイトにてご確認下さい。
まとめ・感想
ピエールフォン城は、巨大な円塔やそれに連なる城壁だけを見ると、重厚な要塞感があります。
また、広い中庭のファサード(正面部分)に見る『ルネサンス様式』や、至るところに施された、ガーゴイルとオブジェが面白いですね。
ヴィオレ・ル・デュックが修復を手がけた作品について、いろいろ言われているようですが、、、個人的には好きです。
前回記事にした【城塞都市カルカソンヌ】や、【ノートルダム大聖堂】など、「実際に見てみたい!」と思いますし、写真(画像)でも魅力的に感じます。
このお城の公式サイトでは、バーチャルで全体を見る事が出来ます。けっこう感動的ですよ(-^〇^-)
✽パリのノートルダム大聖堂が先日(現地時間2019年4月15日夜)、悲運な大火災にみまわれてしまいました、、、(;_;)
再建にどれだけの時間がかかるのかわかりませんが、生あるうちに見られることを願って。
参考資料:ピエールフォン城公式URL=http://chateau-pierrefonds.fr/
参考資料:ヨーロッパの古城物語 ジャン・メスキ著(堀越孝一監修)/株式会社創元社 2007,2010年
参考資料:西洋建築の歴史 美と空間の系譜 佐藤達生著 / 河出書房新社 2014年増補新装版
他、多数のWebサイトから参考にしております
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