グラナダの【アルハンブラ宮殿】

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アルハンブラ宮殿


helenmlittle0によるPixabayからの画像

スペインにおける”イスラム建築の最高峰”といわれる、イスラム王朝最後の王宮、【アルハンブラ宮殿】

 

 

国名 / 所在地

スペイン王国 / アンダルシア州、グラナダ県、グラナダ市 南東の高台

 

概要

アラビア語で『赤い城(アルハムラ)』という意味を持つ、アルハンブラ宮殿

その名前の由来は、赤みを帯びた外壁にあると考えられています。(※諸説あります)

8世紀~15世紀終わりまで、800年近くイベリア半島を支配していたイスラム王朝

13世紀にムハンマド1世によってグラナダ王国が築かれ、元々あった【アルカサバ】と呼ばれる要塞を増改築し宮殿としました。

アルハンブラ宮殿は、2kmある敷地に宮殿や庭など多数の建物があり、城塞都市のようでもあります。

メスアール宮、コマレス宮、ライオン宮が造られ、それぞれに噴水やイスラム様式の回廊が設けられています。

中でもライオン宮では、『モカラベ』と呼ばれる鍾乳石飾りの丸天井は、息を呑むほどの芸術作品と言われています。

建築様式

イスラム様式、ルネサンス様式

 

建設の歴史

711年、それまでイベリア半島を治めてきた西ゴート王国が崩壊し、イスラム勢力がほぼ全域を支配します。

しかし、イベリア半島北方に残っていたキリスト教勢力による、レコンキスタ(国土回復運動)の躍進と内部分裂などから、グラナダを残して、コルドバ、バレンシア、セビーリャの大都市部は次々と陥落していきます。

唯一残った王国、ナスル朝(1232年~1492年)のグラナダ王国の国王たちは、カスティーリャ王の家臣となり、軍事的な援助などをしながら争いを回避していきます。

13世紀、初代王ムハンマド1世(1238年~1273年)によって、アルハンブラ宮殿の造営が始まります。

最初に手をつけたのは、元々そこにあった要塞アルカサバでした。

そして時計塔や、Keepが建てられていきます。その後、宮殿と城壁、庭園、モスク、浴場など次々と建てていきます。

もっとも大きく変わったのは、ユースフ1世(1333年~1353年)と、14世紀後半を担ったムハンマド5世の時代となり、この時にようやく完成します。

1492年、レコンキスタによって最後の王アブディルはグラナダを追われ、ナスル朝は崩壊します。

1527年~、神聖ローマ皇帝カルロス5世(スペイン王カルロス1世)は、アルハンブラ宮殿に『カルロス5世宮殿』を造営するため、一部を破壊します。

しかし、反乱と資金不足のため、カルロス5世宮殿は未完成のままとなっています。

♔この『カルロス5世宮殿』は、イスラム建築の繊細な建物群とは一線を画していて、ルネサンス様式の正方形でどっしりとした印象を受けるようです。正直、写真や画像ではそこまでの違いがわかりません(^_^;)

1826年にグラナダを訪れたアメリカ作家ワシントン・アーヴィングが、アルハンブラ宮殿に一ヶ月間滞在して書き上げた『アルハンブラ物語』を発表します。

その反響のおかげもあり、19世紀半ばに王室の命令により、宮殿の修復が行われました。

♔今日、麗しい【アルハンブラ宮殿】を見る事が出来るのも、アーヴィングさんのおかげといっても過言ではないですね。

1984年、世界遺産「グラナダのアルハンブラ、ヘネラリーフェ、アルバイシン地区」に登録されています。

 

アルハンブラ宮殿の見所

ここからは、アルハンブラ宮殿の見所についてご紹介します。

イスラム建築といえば、その繊細で美しい装飾が一番の見所だと、個人的には思っています。

でもきっと実際に見なければ本当の意味では、良さを伝えることはできないので、いつかそれが現実になった時、改めてご紹介したいと思います。

 

ナスル朝宮殿

イスラム王朝時代に建てられた旧王宮です。

コマレス宮、メスアール宮、ライオン宮の3つの宮殿があります。

janmichaelによるPixabayからの画像

★コマレス宮・・・ユースフ1世が即位後に建設を命じ、1348年、息子のムハンマド5世によって完成します。

アルハンブラ宮殿の中心となる建物で、王の公邸です。

ここにある【コマレスの塔】は、高さ約50mあり、この宮殿で最も高い塔です。

また、この塔の正面には、水鏡となる池が魅力的な【アラヤヌスの(天人花)の中庭】があります。水面に映るコマレスの塔は、計算されて設計されたものだといいます。

 

Denis DoukhanによるPixabayからの画像

★メスアール宮・・・ここは、宮殿の中で最も古いとされる建物です。

しかし、マチューカの塔と柱廊以外は、繰り返し行われた改装や修復などで、本来の姿を知ることは出来ないそうです。

現在メスアール宮と呼ばれる部屋は、1590年の火薬の爆発から唯一残った部屋です。

部屋にある4つの柱には、鍾乳石飾りが見られ、壁は漆喰細工に金箔張り装飾、下部はタイルになっています。

 


MaatkareによるPixabayからの画像

★ライオン宮・・・【アラヤヌス(天人花)の中庭】に隣接している王族のプライベートな場所です。

ムハンマド5世によって建てられたこの宮殿は、キリスト教の王、ペドロ1世との交流を深めたことにより、それまでの幾何学模様や抽象的な装飾から、草花をあしらった自然主義の装飾が見られます。

また、【ライオンの中庭】では、この宮殿のシンボルとなる12頭のライオンの噴水を、124本の大理石の柱の回廊で囲み、その柱のアーチ型をしている上部は、漆喰細工が施されています。

中庭を取り囲むようにして、いくつかの部屋があります。

その中でも、ムハンマド5世によって建てられた『ニ姉妹の間(Hall of the Two Sisters)』では、『モカベラ』と呼ばれる鍾乳石状の装飾が天井を覆っている様は、写真からでもその迫力が伝わってきます。

 

カルロス5世の宮殿

holzijueによるPixabayからの画像

ここはカルロス5世が、建築家ペドロ・マチューカに命じて、家族との生活の場所としてアルハンブラ宮殿の隣に建てた宮殿です。

正方形の形をしており、重厚さを見せるルネサンス様式のその姿は、繊細なイスラム建築のアルハンブラ宮殿の中では異質にみられることも多いようです。

ここでのポイントは、中央に位置するルネサンス様式の円形の中庭です。

1階は美術館、2階はアルハンブラの工芸品を展示しています。

 

Wine Gate (ぶどう酒の門)

ムハンマド2世(1273年~130年)の時代の建物で、宮殿内で最も古いもののひとつと言われています。

16世紀のころに免税のぶどう酒市場があった事から、この名前が付いたといわれていますが、これも諸説あるようです。

門の上部には、二連アーチ状の窓が前後に備わっています。

背面側は、レンガ造りの多彩色で装飾されたアーチの上に、二連アーチの窓があります。

 

アルカサバ


vmzeliusによるPixabayからの画像

ムハンマド1世によって建設され、【ベルメハスの塔】【Wine Gate】と同じく、宮殿内で最も古いものといわれています。

元々この場所は、要塞として存在していたのを現在のように変えていったとされます。

19世紀~20世紀に修復作業が開始されています。

ムハンマド2世の時代では、住居にしていたと考えられていますが、宮殿が完成したのち、軍の要塞として使用していたようです。

この【アルカサバ】の入口には、【adarve(アダルベ)】と呼ばれる庭があります。

ここは、この町で一番美しいと言われる景色を見ることが出来る場所です。また、ここにある城壁に有名な詩が刻まれているといいます。

 

ヘネラリフェ

granadandyouによるPixabayからの画像

ナスル朝宮殿から歩いて20分ほどの場所に位置する、水や緑豊かな2つの中庭からなる庭園です。

13世紀の中頃に造営された【ヘネラリフェ】は、キリスト教の時代に何度となく改修され、当時の姿を見ることは不可能といわれています。

アルハンブラの外から引かれている水路の噴水や、アラヤヌス(天人花)の生垣など、様々な植物が植えられ、まるでオアシスの様です。

 

まとめ・感想

およそ800年にわたりスペインを支配していたイスラム勢力でしたが、やがてレコンキスタに追われ、このグラナダの地で終りをむかえます。

グラナダ王国を築いたムハンマド1世は、とても外交手腕が高かったようで、他のイスラム小王国が次々と崩壊していく中、最後まで生き残ります。

その後、ナスル朝は約260年続き、数々の貴重な文化遺産を残しました。

 

アルハンブラ宮殿と言えば、フランシスコ・タレガの名曲『アルハンブラ宮殿の思い出』が脳内で流れます。

”NHK名曲アルバム”のレコードを姉が持っていて、子供心にも良く聴いては、行ったことのない異国に思いを馳せていました。

※姉によると、当時のタイトルはスペイン語読みの『アランブラ宮殿の思い出』だったそうですが、今ではほとんどが『アルハンブラ宮殿・・・』になっていますね。

 

 

参考資料:アルハンブラ宮殿公式URL:https://www.alhambradegranada.org/ja/

参考資料:世界で一番美しいお城 水野久美著/大和書房 2014年

参考資料:世界一美しい夢のお城図鑑 世界のお城研究会(蓮見清一)/㈱宝島社 2014年

参考資料:情熱でたどるスペイン史 池上俊一著/㈱岩波書店 2019年

他多数のWebサイトから参考にしております

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