ウェストミンスター宮殿
テムズ川沿いに建つ、かつての王宮【ウェストミンスター宮殿】
国名 / 所在地
イギリス(イングランド) / ロンドン、ウェストミンスター
※正式名称:グレートブリテン及び北アイルランド連合王国
概要
イングランド征服王ウィリアム1世の時代から、王の居城としていた【ウェストミンスター宮殿】
16世紀以降、ホワイト・ホール、セント・ジェームズ、バッキンガム宮殿と、王宮が移されていきます。
ここから、国会議事堂としての役割が始まります。
♔13世紀、国王ヘンリー3世は、宮殿に隣接するウェストミンスター寺院を改修するため、貴族たちから重税を課します。当然不満、反発した貴族たちは、国王と減税を求める話し合いの場を設け、問題を解決したことが、現在の議会制度である上院、下院の始まりだとされます。
19世紀に起きた大火災でほとんどが焼失してしまいますが、コンペで選出された建築家チャールズ・バリーとオーガスタ・ピュージュンによって、ゴシック・リバイバル様式で再建されます。
宮殿の敷地は、約8エーカー(3.24ヘクタール)の広さがあり、約1100の部屋、100の階段と回廊。また、管理役員のための州アパートが設けられています。
南端のヴィクトリア・タワーから、北端のビッグ・ベン(エリザベス・タワー)まで長さ約300mあるといいます。
建築様式
ゴシック・リバイバル様式
建築の歴史
1050年、イングランドで最後のサクソン系の王エドワード懺悔王(ざんげおう)(在位1042年~1066年)が、ロンドン、テムズ川沿いに築いたのが始まりとされます。
その後、征服王ウィリアム1世から歴代王の居城としていました。
1092年、ウィリアム2世により、ウェストミンスター・ホールの建設が始まります。当時では、最大規模な大ホールだとされます。
13世紀、ヘンリー3世の統治下では、政府と王室当局の中心であり、重要な場所となっていました。
1529年、ヘンリー8世は、王宮をホワイト・ホール宮殿(1530年~1698年まで)へ移します。
♔ホワイト・ホール宮殿は、1698年に火災で全焼しており、今は、宮殿の正面に通じる道路を『ホワイト・ホール』と呼ぶようになったそうです。
1547年、上院(貴族院)、下院(庶民院)の議場がウェストミンスター宮殿内に設けられます。
17世紀には、国王チャールズ1世と下院の対立が内戦に発展し、清教徒革命が起こります。
この革命で国王軍は破れ、チャールズ1世は斬首となります。
♔この件以来、イギリスの国王が宮殿の下院議場に入ることは許可されていないそうです。
1834年、宮殿は大火災に遭い、大半が焼けてしまいます。
1840年~1860年、コンペによって選出された建築家チャールズ・バリーは、オーガスタ・ピュージョンの協力のもと、周辺との調和を重んじて、ゴシック・リバイバル様式で宮殿を再建させます。
1860年にバリーが亡くなった後、7年後に完成します。
1941年、ドイツ軍によって下院(庶民院)が破壊されますが、1950年に再建されます。
1987年にユネスコの世界遺産『ウェストミンスター宮殿、ウェストミンスター寺院及び聖マーガレット教会』として、登録されています。
ウェストミンスター宮殿とその周辺の見所
ロンドンの中心地ということもあり、ウェストミンスター宮殿とその周辺は見所がいっぱい!
エリザベス女王2世の居住であるバッキンガム宮殿、テムズ川を挟んで宮殿と対岸にある上空約135mからロンドン市内を見渡せる大観覧車【ロンドン・アイ】、大道芸やたくさんのお店が並び観光客が密集するピカデリーサーカス、歴史的な美術工芸品を所蔵する大英博物館などなど。
◆エリザベス・タワー(ビッグ・ベン)・・・ウェストミンスター宮殿の北端に併設された時計塔です。
1859年に完成。ビッグ・ベンとは、この時計塔の鐘を指します。
以前はクロック・タワーが正式名称でしたが、2012年6月26日、エリザベス女王2世が即位して60周年を迎えたことで【エリザベス・タワー】と改称されました。
♔エリザベス・タワーは、改修工事のため、2017年8月21日~2021年まで(大晦日と特別日を除く)作業上の安全を考え、鐘を鳴らすのを停止しています。
◆ヴィクトリア・タワー・・・宮殿の南端にある高さ98mに及ぶ、敷地内で最も高い建物です。
1860年に完成。大火災後の再建時に新たに建てられた塔で、1843年に、ヴィクトリア女王が礎石を置かれています。
付随する【ヴィクトリア・タワー・ガーデン】は、一般に開放されていて、芝生の上でゆっくりくつろげるそうです。(疲れた体を休めるには丁度良いかも(^^))
◆ウェストミンスター・ホール・・・1834年の火災で被害を逃れた大広間。11世紀にウィリアム2世が建立して以来、多くの儀式や祝宴、または裁判が行われてきた場所です。
◆セントスティーブンス・ホール・・・1292年、エドワード2世によって建築が始まります。その後、エドワード3世が引き継ぎ、1348年に一応の完成をしますが、完全に工事が終了したのは、1363年でした。
16世紀半ば以降、政治的な下院(庶民院)の議場となります。
彫刻やステンドグラス、シャンデリアなど豪華な内装となっています。
◆ウェストミンスター寺院・・・1066年に、ウィリアム1世から歴代国王が、ここで戴冠式を行っています。また、さまざまなジャンルで活躍してきた英国の著名人が埋葬されています。(今はいっぱいでスペースがないんだとか、、、)
11世紀に、エドワード懺悔王によって建築され、13世紀にはヘンリー3世の命で、フランスの建築家を招き、フランス・ゴシック様式に改装。以後、増改築が繰り返され現在に至ります。
こちらの寺院も、ウェストミンスター宮殿と同世界遺産に登録されています。
まとめ・感想
ウェストミンスター宮殿というよりも、ビッグ・ベンの通称の方がピンとくる、イギリスの国会議事堂ですが、外観から入る情報が壮大すぎて、議事堂であることを忘れそうです(^^ゞ
『開かれた王室』と言われるイギリスだけあって、国会も傍聴出来るって単純にすごいな~と思います。(日本でもテレビやネット中継はありますけど)
しかし、現在(2019年5月現在)は、エリザベス・タワーが2021年まで改修工事ということで、鉄骨ありきの姿です!
これはこれでありの方もいるでしょうが、『いや、私は完全体が見たい!』という方は、工事が終了するのを楽しみに待ちましょう(^^)
参考資料:ウェイストミンスター宮殿公式URL=https://www.portiament.uk/
参考資料:いつかは行きたいヨーロッパの世界でいちばん美しいお城 水野久美著/大和書房 2014年
参考資料:ヨーロッパの古城宮殿がよくわかる本 桐生操 監修/株式会社レッカ社 2010年
他、多数のWebサイトから参考にしております
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