ウィーンの【ベルヴェデーレ宮殿】

Pocket



ベルヴェデーレ宮殿


Fábio GamalloによるPixabayからの画像 (upper belvedere)

オーストリアに仕えた軍人、オイゲン公子が建てたバロック様式の夏の離宮【ベルヴェデーレ宮殿】

 

国名 / 所在地

オーストリア共和国 / ウィーン、プリンツ・オイゲン通り

 

概要

18世紀、ウィーンの英雄オイゲン公子が夏の離宮として建てた、【ベルヴェデーレ宮殿】

バロック様式の宮殿は、庭園を挟んで上宮下宮の2つの宮殿からなる建物です。

上宮には、グスタフ・クリムト『接吻』をはじめとした、世界最大規模のクリムト・コレクションや、19世紀~20世紀の世紀末絵画などが展示されています。

下宮では、オイゲン公子の居室や、宮殿厩舎、またかつてのオランジェリーは、中世の宝物、美術品などが展示される美術館となっています。

♔オイゲン・フランツ・フォン・=カリグナン(オイゲン公子)は、サヴォイア公の血を引く子孫で、フランス生まれの貴族です。しかし、生涯爵位を得なかったことから『プリンツ・オイゲン』(日本ではオイゲン公または、オイゲン公子)と呼ばれています。

オイゲンは、フランス王ルイ14世の軍隊に入れず、ウィーンでナポレオン1世に仕えます。

オイゲンは出身国フランスの宿敵である、ハプスブル家側の軍人となり、オスマン帝国との戦いでオーストリアを勝利に導いたことで英雄となります。

 

建築様式

バロック様式

 

建設の歴史

ベルヴェデーレ宮殿は、ハプスブルク家に仕えていたフランス出身の軍人オイゲン公子が、ウィーンにバロック様式の夏の離宮として建てました。

1712年、下宮の建設が始まります。当時の代表的な建築家ヨハン・ルーカス・ヒルデブラントによって設計されます。

1717年に上宮の建設が始まります。

1718年、ニンフェンブルク城を手がけたフランスの造園家ドミニク・ジラードによって、バロック様式の庭園が完成します。

1723年に上宮の工事が完了します。その後、ヒルデブラントによって、より安定性を求め現在の姿へと改装されています。

1736年、オイゲン公子が亡くなり、彼には相続人がいなかったため、ベルヴェデーレ宮殿をはじめとする全ての財産がハプスブルク家へ移り、後に最後の女帝マリア・テレジアの所有となります。

1770年、マリア・テレジアの娘マリー・アントワネットフランス王太子(後の国王ルイ16世)のもとへ嫁ぐこととなり、宮殿で祝賀会が開かれます。

1776年~1781年、上宮に写真ギャラリーを展開し、世界で初めての公立美術館が誕生しました。

19世紀初めには、下宮が博物館として使用されていましたが、1889年頃に一時閉鎖されます。

1896年、上宮は、オーストリア王位継承者フランツ・フェルディナンドの住居となります。また、エミール・フォン・フォスターによって改装されます。

第二次世界大戦で、下宮の【グロテスクの間】が破壊され、後に修復されます。

 

ベルヴェデーレの2つの宮殿と庭園

迎賓館として使用されていた上宮とオイゲン公子の住居があった下宮。広大な庭園を挟んだ2つの宮殿は現在、美術館、博物館となっています。

 

Fábio GamalloによるPixabayからの画像

上宮(Upper Belvedere)・・・バロック様式の外観は、シンメトリーというだけでなく、様々な彫刻や装飾が施されています。ドイツ語でOberes Belvedere

ここの『オーストリア・ギャラリー(絵画館)』では、クリムト、エゴンシーレ、ココシュカなどの19世紀末を代表する画家の作品からマネやモネ、ルノワールといった印象派の画家たちの作品が展示されています。

クリムトの『接吻』など、クリムト・コレクションは、世界最大と言われています。

また、教科書や美術雑誌などで良く見られる、皇帝ナポレオンの騎乗した躍動感あふれる作品が見られます。

他にも、2階には(といっても構造上では3階)、かつて舞踏会をやっていた広間【大理石の間】があり、天井のフレスコ画やシャンデリアが豪華です。

上宮の窓から見わたす景色は、この宮殿の名が示すように素晴らしいそうです。

※ベルヴェデーレは、ラテン語で『美しい眺め』という意味があるそうです。

 


Fábio GamalloによるPixabayからの画像 (lower belvedere)

下宮(Lower Belvedere)・・・上宮と比べると外観はちょっとおとなしめです。ドイツ語でUnteres Belvedere

こちらは居住区であったため、【グロテスクの間】、【黄金の間】といった、オイゲン公子の豪華な部屋が見られます。

宮殿の裏側にオランジェリーの建物があります。

ここは、暖房設備が整えられ、かつては寒さに弱いオレンジの木を育てるための温室でした。現在は、特別展示会などが開催される美術館となっています。

 

バロック庭園・・・ドイツのニンフェンブルク城の庭園を手がけたドミニク・ジラードの設計した庭は、シンメトリーの幾何学模様と彫刻や噴水、大池など、上宮からの眺めはもちろん、下宮から上宮へ向かって見える景色も美しいとのこと。

 

※宮殿の外観と庭園は自由に見学や撮影が可能です。上宮、下宮それぞれの美術館は有料、ただし18歳までは無料です。

詳細は公式サイトで確認して下さい。

 

おまけ・・・現代アートに興味のある方は、上宮からさらに南へ行くと【ベルヴェデーレ21(旧21世紀館)】があります。こちらは、20世紀~21世紀のオーストリアの現代芸術に触れられる博物館です。

※公式サイト=https://www.wien.info/

 

まとめ・感想

オーストリアの宮殿と言えば、【シェーンブルン宮殿】が有名ですが、このベルヴェデーレ宮殿も同じハプスブルク家が所有していたという共通点があります。

まあ、ハプスブルク家の所有は驚きませんが、この宮殿を建てたのが一介の軍人というのが凄いですね。

絵画や美術品は当然、シンメトリーの外観の美しさもじっくり見てみたいですね。(写真では限界が(^^ゞ)

2つも宮殿があり、さらに広大な庭園と見所が多いので、絵画に興味が薄くても建物や庭園を見るだけでも楽しめそうですね。

 

 

参考資料:ベルヴェデーレ宮殿公式URL:https://www.belvedere.at/

参考資料:世界で一番美しいお城 水野久美著/大和書房 2014年

他多数のWebサイトから参考にしております

Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です